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過食嘔吐で歯がボロボロに?原因と対処法

過食嘔吐を繰り返すことで、歯が深刻なダメージを受けることをご存知でしょうか。摂食障害の一種である過食嘔吐は、心身の健康に大きな影響を与えますが、歯の健康にも深刻な問題を引き起こします。
この記事では、過食嘔吐によって歯がボロボロになる原因と、その対処法について詳しく解説します。
過食嘔吐で歯がボロボロになる原因
過食嘔吐を繰り返すと、なぜ歯がボロボロになるのでしょうか。主な原因は以下の2つです。
胃酸による酸蝕症
過食嘔吐で最も深刻な歯の問題は、胃酸による酸蝕症です。嘔吐によって胃酸が口腔内に逆流すると、歯のエナメル質が溶けてしまいます。エナメル質は歯の表面を覆う硬い組織で、歯を保護する重要な役割を担っています。酸蝕症が進行すると、エナメル質が薄くなり、歯の色が黄ばんだり、透明感が増したりします。さらに進行すると、歯の形が変形し、欠けたり、折れたりすることもあります。
糖の過剰摂取による虫歯
過食嘔吐では、大量の食べ物を一度に摂取することが多く、その中には糖分の多い食品も含まれていることがあります。過剰な糖分摂取は虫歯の原因となります。口腔内の細菌は糖分を栄養源として酸を作り出し、その酸によってエナメル質が溶かされ、虫歯が発生します。過食嘔吐を繰り返すことで、虫歯のリスクが高まるのです。
過食嘔吐による酸蝕症の症状
過食嘔吐による酸蝕症の初期症状は、歯の色の変化です。エナメル質が溶けることで、歯が黄ばんだり、透明感が増したりします。また、歯の表面がザラザラになったり、光沢を失ったりすることもあるでしょう。さらに酸蝕症が進行すると、歯の形が変形し、欠けたり、折れたりする可能性があります。歯の損傷が進むと、知覚過敏になることも。冷たいものや熱いもの、甘いものを食べると、しみるような痛みを感じるようになります。
過食嘔吐で歯がボロボロになるまでの期間
過食嘔吐によって歯がボロボロになるまでの期間は、個人差が大きいですが、早い場合は数ヶ月で症状が現れることもあります。嘔吐の頻度が高いほど、また、嘔吐後に適切なケアを行わないほど、歯の損傷は速く進行します。過食嘔吐を数年間続けると、ほとんどの場合、重度の酸蝕症を発症し、歯が欠けたり、折れたりするようになります。早期発見と早期治療が非常に重要です。
歯がボロボロになった場合の治療法
歯がボロボロになってしまった場合の治療法はいくつかあります。それぞれメリット・デメリットがあるため、ご自身の状況やニーズにあった方法を選びましょう。
入れ歯
歯が欠けたり、折れたりして、自分の歯では食事ができなくなった場合、まず考えられる改善策は入れ歯です。入れ歯は、損傷した歯を覆うことで、見た目を改善し、咀嚼機能を回復させます。部分入れ歯と総入れ歯があり、残存する歯の状態に応じて選択します。入れ歯は取り外しができるため、手入れが簡単ですが、違和感があることもあるので、馴染むまでは細かな調整が必要です。
インプラント
インプラントは、歯を失った部分に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を被せる治療法です。自分の歯のように固定されるため、違和感が少なく、咀嚼機能も高いのが特徴です。ただし、手術が必要であり、治療期間が長いことや、費用が高額になるというデメリットもあります。また、インプラントを行うためには、十分な骨量が必要であり、過食嘔吐によって骨量が減少している場合は、適応できないこともあります。
セラミック
歯が欠けたり、変色したりしている場合、セラミックで歯を覆う治療法もあります。セラミックは、天然の歯に近い色合いと透明感を再現できるため、審美性に優れているのが特徴です。また、耐久性も高く、長期間使用することができます。ただし、自分の歯を削る必要があるため、健康な歯質が失われてしまうことがデメリットです。
過食嘔吐後のケア
過食嘔吐は、やめたくてもなかなか自制できるものではありません。しかし、嘔吐した際、少しでも歯へのダメージを減らすためにできることはあります。
うがい
過食嘔吐後は、必ずうがいをすることが大切です。水や口内洗浄剤でうがいをすることで、口腔内の酸性度を下げ、歯の損傷を防ぐことができます。少しでも歯がボロボロになることを防ぐために、うがいを習慣化しておきましょう。
歯磨き
歯磨きができればなお良いです。ただし、嘔吐直後のブラッシングは避けてください。歯が酸で脆くなっているため、ブラッシングによって歯が傷つく可能性があります。嘔吐後に歯磨きをするのは、30分から1時間経過してからがおすすめです。フッ素配合の歯磨き粉を使用することで、歯を強化することができます。歯ブラシは、柔らかいものを選び、優しく磨くことが大切です。歯茎を傷つけないよう、注意しましょう。
マウスピースの使用
過食嘔吐によって歯が損傷している場合、マウスピースを使用することも一つの手段です。マウスピースは、歯を覆うことで、酸から歯を保護する役割があります。マウスピース製作については歯科医院で相談してみてください。
歯の治療が過食嘔吐の改善になる可能性も
過食嘔吐の原因はさまざまですが、ストレスによって過食してしまう方は多いです。過食嘔吐のような摂食障害の治療には、身体と心の両方からアプローチが必要です。まずは内科や心療内科、精神科の受診をおすすめします。しかし、もし歯に関することが少しでもストレスになっている場合は、ぜひ早めに歯科医院で歯の治療を受けてください。
歯がボロボロになったことで、歯の痛みや見た目のコンプレックスがさらにストレスになり、余計に過食嘔吐を繰り返してしまうというケースは珍しくありません。そのまま放置すると、歯も心も悪くなる一方です。摂食障害の根本改善にはならないかもしれませんが、歯の治療がストレス改善の第一歩になる可能性があります。
歯がボロボロだけど歯医者に行けないという方は、以下の記事も併せてご覧ください。
「【歯がボロボロすぎて歯医者に行けない】よくある4つの理由と対処法」
まとめ
過食嘔吐によって歯がボロボロになってしまったら、なるべく早く歯医者に行きましょう。しかし、中には歯医者に対してトラウマがあってなかなか行けないという方もいると思います。残念なことに、勇気を出して摂食障害について打ち明けたのに、歯科医師から心ない言葉を言われてしまうケースもあるのは事実です。
しかし、摂食障害に理解のある歯科医院もあります。当院もその一つです。これまでも様々な背景をお持ちの患者様の悩みに寄り添い、治療をしてきました。まずは相談だけでも結構です。歯がボロボロになってお悩みの方は、お気軽にご来院ください。