入れ歯治療

入れ歯治療について

当院では、歯を補う選択肢のひとつとして入れ歯治療をご提供しています。噛みにくさや発音のしづらさ、見た目の変化をできるだけ緩和し、食事や会話を日常的に楽しめる状態を目指します。そのために、咬み合わせと適合を丁寧に確認しながら、段階的に進めていきます。

入れ歯は取り外し式で清掃しやすく、通常は外科処置を伴いません。部分的に歯を失った場合は部分義歯、歯が全て無い場合は総入れ歯を中心に検討し、ブリッジやインプラントは骨や残存歯の状態、清掃性、外科の可否などを踏まえて比較検討します。診療の流れは、初診の精査から設計提案、試適と調整、装着、装着後フォローという順で、見え方や噛み合わせ、着脱のしやすさを確認しながら調整します。

目安として治療期間はおよそ2週間から2カ月、通院回数は3〜4回です。費用は素材や設計、本数で異なり、料金表欄に税込みの目安を記載しています。装着初期には痛みやこすれ、違和感、発音の変化、唾液量の増減がみられることがあり、調整や清掃で対応します。現在使用中の入れ歯、過去のレントゲンや模型、お薬手帳などがあると診療がスムーズです。

自由診療と保険診療の違い

入れ歯は、材料の違いにより、
保険適応のものと、自由診療の入れ歯があります。

入れ歯の制作は、材料によって違いがあります。保険適応の場合は、使用できる材料が限られており、プラスティック素材を使用することになります。
自費で作る入れ歯は、様々な素材から自分に合う素材を自由に選ぶことができます。
素材の違いは、入れ歯の審美性や使い心地にも影響します。保険の入れ歯では作りが安っぽいので固いものを噛むと痛みを伴う場合もあります。もちろん、保険の入れ歯だから痛い、噛めないということは決してありませんが、自費の入れ歯に比べると見た目がやや劣り、不自然に感じやすくなります。食事中に入れ歯が浮いたり、外れてしまったりというのは保険の入れ歯で起きやすくなります。自費の入れ歯は見た目が良く、かみ合わせの違和感の少ない自分に合う入れ歯を作ることができます。入れ歯と気づかれない自然な歯の色の入れ歯にしたいという方に選ばれています。

自由診療 保険診療
画像
素材 金属(チタン・コバルトクロム)、シリコン、ノンクラスプなど高品質素材 レジン(プラスチック)
見た目 自然で目立ちにくく、審美性が高い 金属のバネが見えることがあるなど、審美性はやや劣る
異物感 薄くて軽く、装着感に優れている 厚みがあり違和感を感じやすい
耐久性 割れにくく変形しにくい、高耐久 経年劣化しやすく、割れ・変形しやすい
費用 高額(使用する素材や設計によって異なる) 比較的安価(健康保険適用)

入れ歯の種類について

部分義歯

部分的に歯を失った場合に用いられることが多い装置が部分入れ歯です。残っている歯に金属製のクラスプ(留め具)をかけて固定するのが一般的ですが、自費治療専門の当クリニックでは、見た目や快適さを重視した多彩な選択肢をご用意しています。たとえば、自然な口元を目指す方には、歯ぐきや歯の色になじむ樹脂製のクラスプを用いた設計が可能です。金属のバネが目立たないため、会話や笑顔の際にも気づかれにくく、より自然な印象を保てます。
また、部分義歯は単に欠損部を補うだけでなく、残存歯への負担のかけ方や噛み合わせのバランスも重要になります。当院では事前に咬合や歯ぐきの状態を丁寧に確認し、フィット感と安定性の両立を目指した設計を行います。見た目だけでなく、長期的に快適に使い続けられることを重視しているのが特徴です。

  • 部分入れ歯・仮入れ歯(本義歯セット価格) ¥17,000~(税込み¥18,700~)
治療期間・回数
治療期間の目安/2週間~2カ月
治療回数の目安/3~4回
メリット
  • 外科処置が不要で短期間で作製可能(2週間〜2カ月程度)
  • 残っている歯を活かしながら欠損部を補える
  • 取り外し式で清掃や修理・増歯がしやすい
デメリット
  • 装着直後は違和感や痛みが出やすく、慣れるまで時間が必要
  • 金属の留め具を使う場合は見た目に影響が出ることがある
  • 支えとなる歯に負担がかかり、清掃不足で口臭や炎症のリスクがある

スマイルデンチャー

スマイルデンチャーは、プラスチックのようなナイロン系樹脂を用いた部分入れ歯で、しなやかさと強度を兼ね備えているのが特徴です。素材自体が割れにくいため、誤って落としたり踏んでしまった場合でも破損のリスクが低く、長期的な使用に適しています。さらに、従来の入れ歯と比べて非常に薄く軽いため、装着時の違和感が少なく、日常生活に自然になじみやすい点も大きな魅力です。
また、金属製のクラスプ(バネ)を使わず、歯ぐきの色に近い樹脂で固定するため、口を開けた際に入れ歯だと気づかれにくい審美性があります。自然な笑顔や会話を妨げにくく、見た目を重視する方にも選ばれやすい治療法です。さらに、ナイロン素材特有の柔軟性により粘膜への当たりが優しく、痛みや圧迫感が出にくい設計が可能となります。

  • スマイルデンチャー ¥120,000~187,500(税込み¥132,000~206,250)
治療期間・回数
治療期間の目安/2週間~2カ月
治療回数の目安/3~4回
注意事項
  • 公的保険適用外治療となります。
メリット
  • 金属を使わず自然な見た目で、笑顔や会話の際に入れ歯だと気づかれにくい
  • ナイロン系樹脂の柔軟性と耐久性により、割れにくく長持ちしやすい
  • 薄くて軽いため違和感が少なく、粘膜への当たりも優しい
デメリット
  • 保険が適用されない自費治療であり、費用の負担が大きくなる
  • 樹脂素材の特性から、修理や増歯に制限がある場合がある
  • 長期使用で変色やすり減りが生じる可能性があり、定期的な交換や調整が必要

カムデンチャー

カムデンチャーは、金属のバネ(留め具)が開閉できる特殊な構造をもつ部分入れ歯です。ノブを引っ張ると留め金が開き、閉じるとしっかりと歯を挟み込む仕組みになっており、鍵のように作用して支えとなる歯を確実に保持します。一般的なクラスプ義歯に比べて動きが少なく、安定感が得やすいのが特徴です。
メリットとして、強力に歯を固定できるため、食事や会話の際に入れ歯が浮き上がったりズレたりしにくく、安心感をもって日常生活を送ることができます。また、留め金が開閉式であるため、支える歯を大きく削る必要がなく、装着や取り外しの際にも歯に無理な力がかかりにくい設計です。これにより、支台となる歯に優しく、長期的な負担の軽減にもつながります。
さらに、自費治療だからこそ精密な設計や調整が可能で、患者さま一人ひとりのお口に合わせたフィット感を追求できます。見た目の自然さだけでなく、機能性と残存歯へのやさしさを兼ね備えた選択肢として、安定した使用感を求める方に適しています。

  • カムデンチャー ¥250,000(税込み¥275,000)
治療期間・回数
治療期間の目安/2週間~2カ月
治療回数の目安/3~4回
注意事項
  • 公的保険適用外治療となります。
メリット
  • 強力な固定力で安定性が高いため、食事や会話の際に入れ歯が動きにくい
  • 支えとなる歯を大きく削らずに済むので、残存歯への負担が少ない
  • 着脱時に歯に無理な力がかかりにくく、歯に優しい設計になっている
デメリット
  • 特殊な構造のため費用が高額になりやすい(自費治療)
  • 開閉式の金具部分があるため、定期的な調整やメンテナンスが必要
  • 構造が複雑な分、通常の部分入れ歯よりも厚みや違和感を感じる場合がある

スマートデンチャー

スマートデンチャーは、金属のクラスプを使わずに装着できる部分入れ歯です。歯ぐきの色に近いピンク色の樹脂で固定するため、外から見ても入れ歯だと気づかれにくく、自然な見た目を実現できます。笑ったり会話をしたりする際にも口元の印象が損なわれにくく、審美性と機能性を両立させたい方に適しています。
また、金属を使用しないため、金属アレルギーの心配が少ない点も安心材料のひとつです。樹脂素材はしなやかさがあり、装着時の違和感が軽減されやすく、日常生活にスムーズに馴染みます。当院では、自費治療専門ならではの精密な設計と調整を行うことで、装着感とフィット感を最大限に高め、患者さま一人ひとりのお口に合わせた仕上がりを提供しています。
さらに、スマートデンチャーは審美性の高さから、特に前歯部など人目に触れやすい部分の欠損に有効な選択肢です。見た目を大切にしたい方や、自然な表情を取り戻したいと願う方におすすめできる入れ歯の一つといえます。

スマートデンチャー
(コバルト床+ソフト床)

  • スマートデンチャー
    (1~3歯)
    ¥265,000
    (税込み¥291,500)
  • スマートデンチャー
    (4歯以上)
    ¥355,000
    (税込み¥390,500)
治療期間・回数
治療期間の目安/2週間~2カ月
治療回数の目安/3~4回
注意事項
  • 公的保険適用外治療となります。
メリット
  • 金属クラスプを使わないため審美性が高く、自然な見た目を実現できる
  • コバルト床で薄く頑丈に作れるうえ、ソフト素材が粘膜への当たりを和らげる
  • 軽さ・強度・装着感のバランスが良く、日常生活に馴染みやすい
デメリット
  • 保険が適用されず自費治療になるため、費用負担が大きい
  • 樹脂と金属の複合設計のため、修理や増歯に制限が出ることがある
  • ソフト素材部分は経年的に劣化する可能性があり、定期的な調整や交換が必要

スマートデンチャープレミアム
(チタン床+プレミアム床)

  • スマートデンチャープレミアム
    (1~3歯)
    ¥330,000
    (税込み¥363,000)
  • スマートデンチャープレミアム
    (4歯以上)
    ¥460,000
    (税込み¥506,000)
治療期間・回数
治療期間の目安/2週間~2カ月
治療回数の目安/3~4回
注意事項
  • 公的保険適用外治療となります。
メリット
  • チタン床を採用することで、従来よりさらに軽量で装着感が良い
  • 熱伝導性が高く、食べ物や飲み物の温度を感じやすいため食事が自然に楽しめる
  • 金属アレルギーのリスクが低い素材であり、安心して選べる
デメリット
  • 自由診療のみのため、費用負担が大きくなる
  • 複合素材であるため、修理や増歯の対応に制限が出やすい
  • 高精度な技工を要するため、製作に時間や専門的な調整が必要

スマートデンチャーオプションの詳細

  • イオンコート加工 ¥10,000
    (税込み¥11,000)
  • コンフォート加工
    (生体シリコン加工)
    ¥70,000
    (税込み¥77,000)
  • スマートデンチャー修理 ¥30,000
    (税込み¥33,000)
  • スマートデンチャー増歯、
    アーム追加
    ¥30,000
    (税込み¥33,000)

総入れ歯

総入れ歯は、上下いずれか、あるいは両顎の歯をすべて失った方に適用される入れ歯です。残っている歯がない状態でも噛む機能や見た目を補うことができ、食事や会話を楽しむための重要な選択肢となります。当クリニックでは、自費治療専門として、患者さま一人ひとりの口腔内の状態や咀嚼力を丁寧に確認し、快適な使用感を得られるよう精密な設計と調整を行っています。
総入れ歯は床(義歯の土台)の形態や吸着性がフィット感を大きく左右するため、製作過程での型取りや咬合の記録が非常に重要です。当院では、噛み合わせや口腔粘膜の形状を細かく確認し、装着後にズレや浮きが生じにくいよう配慮しています。また、咀嚼機能だけでなく口元の形態や表情も考慮し、自然な見た目の回復にも力を入れています。
さらに、初めて総入れ歯を装着する方にとっては、装着直後の違和感や発音のしづらさ、噛み切りにくさなどが不安要素になりやすいものです。当クリニックでは、慣れるためのステップや食事指導を含めたサポートを行い、安心して生活に取り入れていただけるよう支援しています。定期的な調整やメンテナンスも重視し、長く安定して使えるよう伴走することを心がけています。

  • 仮入れ歯
    (本義歯セット価格)
    ¥30,000
    (税込み¥33,000)
治療期間・回数
治療期間の目安/2週間~2カ月
治療回数の目安/3~4回
注意事項
  • 公的保険適用外治療となります。
メリット
  • 抜歯後や治療中でもすぐに歯の見た目を補えるため、見た目や会話の不安を軽減できる
  • 治療の完成義歯ができるまでの間に噛む機能を一部回復でき、生活の質を維持しやすい
  • 調整や修理が比較的しやすく、短期間で製作可能
デメリット
  • 治療の過程で歯ぐきや骨の状態が変化するため、適合が不安定になりやすい
  • あくまで一時的な入れ歯のため、噛み心地や安定感は完成義歯に劣る
  • 長期間の使用には不向きであり、定期的な調整や早めの作り替えが必要

生体シリコンデンチャー(柔らかく痛みの出にくい入れ歯)

生体用シリコーン素材を義歯の裏面に特殊加工することで、従来の入れ歯では避けられなかった歯ぐきへの負担や痛みを大幅に軽減できる新しいタイプの入れ歯です。義歯の内面に施されたシリコーンが歯ぐきの形にやさしく馴染み、粘膜をクッションのように保護します。その結果、噛んだときの痛みや圧迫感が和らぎ、入れ歯の安定性も向上しやすくなります。
従来の硬い素材の入れ歯では、食事中に強い痛みを感じたり、装着中にグラつきを経験することが少なくありませんでした。生体シリコンデンチャーはこれらの弱点を改善し、日常生活の中で安心して食事や会話を楽しめることを目指しています。柔らかくフィットするため、粘膜が敏感な方やご高齢の方でも受け入れやすく、初めて入れ歯を装着する方にも適した選択肢といえます。
さらに、生体シリコーンは長期間使用しても劣化しにくい性質を持ち、アレルギーや拒絶反応の心配が少ない点も安心材料のひとつです。当院では、自費治療専門の強みを活かし、患者さま一人ひとりのお口の状態に合わせて精密に設計・加工を行います。より快適でやさしい装着感を求める方におすすめできる入れ歯です。

  • 生体シリコンデンチャー(片顎) ¥450,000
    (税込み¥495,000)
治療期間・回数
治療期間の目安/2週間~2カ月
治療回数の目安/3~4回
注意事項
  • 公的保険適用外治療となります。
メリット
  • 義歯の裏面に生体用シリコーンを加工することで、歯ぐきへの当たりが柔らかく痛みを軽減できる
  • クッション性があるため吸着力や安定感が高まり、外れにくくなる
  • 粘膜が弱い方やご高齢の方でも使いやすく、快適に装着しやすい
デメリット
  • 保険が適用されないため費用負担が大きい
  • シリコーン素材は経年的に劣化するため、定期的なメンテナンスや交換が必要
  • 柔らかさゆえに、清掃不足だと汚れが付きやすく衛生管理に注意が必要

金属床義歯(コバルトクロム義歯)

コバルトクロムは金属床義歯の代表的な素材で、古くから多くの患者さまに用いられてきた実績のある金属です。最大の特徴は、頑丈さと薄さを兼ね備えている点にあり、従来のレジン床に比べて床部分を薄く設計できるため、装着時の違和感を抑えやすくなります。また、金属ならではの高い熱伝導性により、食べ物や飲み物の温度が伝わりやすく、食事の楽しみをより自然に味わえるのも利点のひとつです。
さらに、コバルトクロムは強度が高く、長期的な使用に耐えられることから、安定した咀嚼機能を求める方に適しています。割れや変形のリスクが少なく、適切なケアを行えば長期間快適に使用できる耐久性を備えています。当クリニックでは、自費治療専門として精密な型取りと設計を行い、フィット感と安定性を両立させた金属床義歯をご提供しています。
一方で、金属特有の重量感を感じる方もいらっしゃるため、患者さまの口腔内の状態やご希望を丁寧に確認しながら最適な設計をご提案します。審美性・機能性・耐久性のバランスを求める方にとって、コバルトクロム義歯は信頼性の高い選択肢といえるでしょう。

  • 金属床義歯
    (コバルト床)
    ¥350,000
    (税込み¥385,000)
治療期間・回数
治療期間の目安/2週間~2カ月
治療回数の目安/3~4回
注意事項
  • 公的保険適用外治療となります。
  • 手術を伴うため、術後に痛み・腫れ・出血・合併症を伴う可能性がある。
メリット
  • 強度が高く薄く設計できるため、装着時の違和感が少ない
  • 熱伝導性が良く、食事の温度を感じやすいので食事を自然に楽しめる
  • 長期的に安定して使用できる耐久性があり、割れや変形のリスクが少ない
デメリット
  • 自由診療のみで費用負担が大きい
  • 金属アレルギーのリスクがあるため、体質によっては使用できない場合がある
  • 修理や増歯に制限があり、大きな破損時には作り直しが必要になることもある

金属床義歯(チタン床)

チタンは、金属床義歯の中でもコバルトクロムに比べてさらに軽量であり、装着時の負担を大きく減らせる素材です。薄く加工できるため、装着時の違和感が少なく、発音や会話がしやすいのも特徴です。加えて、熱伝導性が高いため、食べ物や飲み物の温度が自然に伝わりやすく、食事の楽しみを損なわずに過ごせます。
もう一つの大きな利点は、金属アレルギーが出にくいという点です。チタンは生体親和性が高く、医療用インプラントや人工関節にも使われるほど安全性が評価されている金属です。そのため、金属アレルギーの既往歴がある方や、肌が敏感な方でも選びやすい入れ歯素材といえます。
さらに、チタンは耐久性に優れ、強度を保ちながら軽さも兼ね備えているため、長期的に安定して使用できることも魅力です。当クリニックでは、自費治療専門の利点を活かし、精密な設計と高度な技工によって、一人ひとりのお口の状態に合わせたチタン床義歯を製作しています。快適さと安全性を両立させたい方に適した選択肢です。

  • 金属床義歯
    (チタン床)
    ¥430,000
    (税込み¥473,000)
治療期間・回数
治療期間の目安/2週間~2カ月
治療回数の目安/3~4回
注意事項
  • 公的保険適用外治療となります。
  • 手術を伴うため、術後に痛み・腫れ・出血・合併症を伴う可能性がある。
メリット
  • 非常に軽量で装着感が良く、長時間の使用でも負担が少ない
  • 熱伝導性が高く、食べ物や飲み物の温度を自然に感じやすい
  • 金属アレルギーのリスクが低く、生体親和性に優れている
デメリット
  • 自由診療のみのため、コバルトクロムよりも費用が高額になりやすい
  • 加工が難しく、高度な技工が必要なため製作に時間を要することがある
  • 修理や増歯の対応が制限される場合があり、大きな破損時には再製作が必要

入れ歯治療の流れ

1

初診・相談

まずはカウンセリングとして、現在感じているお悩みや「噛めない」「外れやすい」「見た目が気になる」などの症状、これまでの入れ歯の装用歴やご希望を丁寧にお伺いします。そのうえで口腔内を詳しく診査し、必要に応じてレントゲン撮影を行います。残っている歯の状態や歯ぐきの厚み、顎の動き、咬み合わせの癖まで総合的に確認し、治療方針の土台を整えます。

2

設計提案・見積

診査の結果をもとに、部分入れ歯か総入れ歯かといった適応の判断を行い、素材や設計の選択肢をご提案します。費用の目安や通院回数・期間についても事前にわかりやすくご説明するため、治療を開始する前にイメージをつかんでいただけます。複数のプランを提示し、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、患者さまと一緒に納得できる形を選んでいきます。

3

精密印象・咬合採得

実際の製作に入る前に、専用の印象材を使って精密に型取りを行い、上下の咬み合わせを正確に記録します。義歯はこの工程の精度で快適さが左右されるため、当院では時間をかけて丁寧に調整します。必要に応じて、顎の動きを再現する装置を使い、より自然に近い咬合関係を再現します。

4

試適

完成前の試作品を装着し、見た目や咬み合わせ、発音、着脱のしやすさを確認します。口元の印象や発音の明瞭さなど、日常生活で気になる点を一緒にチェックし、違和感があれば修正を加えます。必要に応じて複数回試適を行い、完成度を高めていきます。

5

装着

完成した入れ歯を装着し、使用感を確かめます。この段階では、装着・取り外しの手順や清掃方法についても詳しくご説明します。日常生活でスムーズに使えるよう、練習を兼ねながらご案内いたします。

6

調整

装着直後はこすれや痛み、違和感が出やすいため、数回の調整が一般的です。噛んだときの力の分散や粘膜への圧力を確認しながら、細かな調整を繰り返してフィット感を高めていきます。患者さまの生活習慣や食事のスタイルに合わせて調整できる点も、自費治療ならではの強みです。

7

定期メンテナンス

入れ歯は完成して終わりではなく、長期的に快適に使い続けるためには定期的なメンテナンスが欠かせません。粘膜や歯ぐきの状態、咬み合わせの変化、清掃状況を定期的に確認し、必要に応じて裏打ち(リライニング)や修理を行います。これにより、口腔内の変化に合わせて入れ歯を最適な状態に維持できます。

リスク・副作用・注意点

入れ歯治療は外科処置を伴わない場合が多く、安全性の高い方法ですが、装着や使用にあたってはいくつかのリスクや注意点があります。当院では、以下のような点をあらかじめご説明し、定期的な調整・メンテナンスを通じて快適にお使いいただけるようサポートしています。

装着初期の反応

入れ歯を装着した直後は、歯ぐきや粘膜に「こすれ」「痛み」「違和感」が出ることがあります。また、発音がしづらく感じたり、唾液の量が一時的に増減することもあります。これらは多くの場合、時間の経過や調整によって軽減されますが、無理に使用を続けずに早めにご相談いただくことが大切です。

粘膜や歯ぐきへの影響

長時間の装用や清掃不足は、義歯性口内炎や**粘膜の圧痕・褥瘡(じょくそう)**の原因となることがあります。赤みや痛みを感じる場合は装着を中断し、調整や清掃方法の見直しが必要です。毎日のケアと定期的なチェックが予防につながります。

噛み合わせ・残存歯への負担

入れ歯を使用すると噛み合わせに変化が生じることがあり、その場合は調整が必要になります。また、部分入れ歯では残存歯に力が加わるため、歯や歯周組織に負担がかかることがあります。歯周病の進行や支台歯の動揺が見られる場合は、早めの対応が重要です。

素材特有の注意点

  • 金属床義歯では、体質によっては金属アレルギーを起こす可能性があります。そのため、アレルギーの既往歴がある方は事前に素材選択で配慮します。
  • 生体シリコーン裏装は装着感を向上させる一方、経年的に摩耗や劣化が生じやすいため、再裏装や交換が必要になる場合があります。また、柔らかさゆえに汚れがつきやすいため、衛生管理を徹底することが重要です。

お手入れと長持ちのコツ

入れ歯を清潔に保ち、長く快適に使い続けるためには、日々のケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。正しいお手入れを行うことで破損や口腔内のトラブルを防ぎ、寿命を延ばすことができます。

毎日の清掃

食後は必ず流水下で入れ歯を外し、義歯専用ブラシを使って汚れを落とします。市販の歯磨き粉の多くには研磨剤が含まれており、入れ歯の表面を傷つける恐れがあるため使用を避けましょう。必要に応じて義歯洗浄剤を併用することで、目に見えない細菌や着色の予防に役立ちます。

取り扱いの注意

入れ歯は熱に弱いため、熱湯での洗浄は変形のリスクがあるので避けることが大切です。洗面所で清掃する際は、洗面器に水を張ったりタオルを敷いたりして落下対策をすると破損防止につながります。

就寝時の取り扱い

寝るときに装着するかどうかは、口腔内の状態や治療内容によって異なります。外すように指示がある場合は、水を入れた容器に保管してください。乾燥させると変形やひび割れの原因となるため、必ず水中で保管することが推奨されます。

定期メンテナンス

入れ歯は長期間使う中で、歯ぐきや顎の形の変化により適合が合わなくなることがあります。そのため、年2〜4回の定期検診で、粘膜の状態や咬み合わせ、清掃状況をチェックすることが重要です。必要に応じてリライニング(裏装処置)や修理を行うことで、入れ歯を快適に長持ちさせることができます。

入れ歯の選び方(症例別チャート)

入れ歯の種類や設計は、お口の状態や生活スタイルによって大きく異なります。以下はあくまで一般的な目安であり、最終的な判断は検査結果と患者さまのご希望を踏まえてご提案いたします。

欠損の状態を確認

  • すべての歯が無い場合 → 総入れ歯の検討(素材はレジン床・金属床・生体シリコーン裏装など)
  • 一部の歯を失っている場合 → 部分入れ歯を検討

見た目のご希望

  • 正面から金属を見せたくない場合 → ノンクラスプ系(スマートデンチャー等)を優先候補
  • 見た目に大きなこだわりがない場合 → 次の条件へ

装着感の重視度

  • 薄さ・軽さ・温度の伝わりやすさを重視する場合 → 金属床(チタン/コバルト)を候補
  • 標準的で十分な場合 → レジン床を候補

粘膜や咀嚼時の快適性

  • 粘膜や咀嚼時の快適性
  • 痛みが出やすい・歯ぐきの当たりが気になる場合 → 生体シリコーン裏装を追加で検討

アレルギーの有無

  • アレルギーの有無
  • 金属アレルギーがある、または不安がある場合 → チタン床や樹脂系の設計を優先

将来的な修理性

  • 将来的な修理性
  • 歯を新たに失う可能性が高い場合 → 修理・増歯・リライニングが行いやすい設計を選ぶ

※入れ歯は「一度作れば終わり」ではなく、使用中の調整・修理・メンテナンスを前提とした治療です。装置の可否や適合はお口の状態により個人差があり、実際には試適や調整を重ねながら仕上げていきます。

修理・増歯・リライニング(再裏装)・リベース

入れ歯は一度作ったら終わりではなく、使用とともにお口の状態や噛み合わせが少しずつ変化します。そのため、定期的な調整や修理が欠かせません。放置してしまうと破損や不具合が進行し、痛みや口腔内の炎症につながることもあります。当院では、状態に応じて次のような対応を行います。

修理(破折・欠け・クラスプ折れなど)

入れ歯が割れてしまったり、人工歯や金属の留め具(クラスプ)が欠けた場合は、専用の方法で補修や部品交換を行います。市販の接着剤を使ったり、自分で削って調整すると、かえって修復が難しくなることがあるため避けてください。

増歯(人工歯の追加)

新たに歯を抜いた場合など、入れ歯に人工歯を追加して対応できることがあります。ただし、設計や素材によっては増歯ができない場合もあるため、事前に確認が必要です。

リライニング(再裏装)

歯ぐきの形や顎の骨は時間とともに変化します。入れ歯の内面に新しい材料を足すことで粘膜面に再び適合させ、フィット感を回復する方法です。「入れ歯が浮く」「緩んで外れやすい」と感じるときに検討します。

リベース

入れ歯の床の大部分を新しい材料に置き換える方法です。長期間の使用で経年変化が大きい場合に行われ、リライニングよりも広範囲な修正になります。見た目や噛み合わせを大きくリフレッシュできるメリットがあります。

受診の目安

  • 強い痛みが出る
  • 入れ歯が明らかに破損した
  • 浮きや外れやすさが気になる
  • 食事や会話に支障が長引く

こうした症状がある場合は、自己判断で使用を続けたり調整せず、早めに受診してください。専門的な対応を行うことで、入れ歯を長く快適に使うことができます。

装着直後の慣らし方(1週間の目安)

入れ歯を装着した直後は、誰しも違和感や噛みにくさを感じます。慣れるまでの1週間をどのように過ごすかで、その後の適応の早さや快適さが大きく変わります。以下は一般的な流れの目安です。

1〜3日目

最初はおかゆや煮物などやわらかい食事から始めましょう。一口を小さくし、両側の歯で均等に噛むように意識すると安定しやすくなります。発音については「サ行・タ行・パ行」が発音しづらくなる方が多いため、鏡の前でゆっくりはっきり声を出す練習をすると改善につながります。

4〜7日目

少しずつ食材の刻み方を工夫しながら硬さを上げていきます。ただし、粘り気の強い食品(餅・キャラメルなど)や極端に硬い食品(せんべい・ナッツなど)は避けるようにしてください。痛みやこすれを感じた場所は、メモや写真で記録しておくと、後日の調整時に的確にお伝えできます。

義歯安定剤の扱い

義歯安定剤は一時的に安定感を高めるのに役立ちますが、多用すると適合不良を覆い隠してしまうことがあります。使用を検討する際は、必ず歯科医に相談してからにしましょう。

清掃と保管

毎食後は流水下で義歯専用ブラシを使って清掃することが大切です。就寝時は歯科医の指示に従い、外す場合は必ず水に浸けて保管してください。乾燥すると変形やひび割れの原因になります。

よくあるトラブルと対処

入れ歯は毎日使う中で、どうしても不具合やトラブルが出ることがあります。早めに対処すれば大きな問題にはつながりにくいため、下記を参考にしてください。

当たりの痛み・潰瘍

装着直後や長時間使用すると、歯ぐきに強い圧力がかかり「痛み」や「口内炎(潰瘍)」が出ることがあります。まずは長時間の連続装用を避け、清潔を保つことが大切です。症状が続く場合は我慢せず、早めに調整を受けてください。市販の塗り薬や消炎剤を自己判断で使用するのは避けましょう。

浮き・外れやすい

入れ歯が浮いたり外れやすいのは、汚れや安定剤の残りが原因になることもあります。清掃後に改善しない場合は、一時的に安定剤を使用して様子を見るのも方法ですが、根本的にはリライニング(再裏装)や調整が必要です。

カチカチ音がする・噛み切りにくい

咬み合わせが合っていないと、食事中に「カチカチ」と音がしたり、食べ物が噛み切れないことがあります。これは咬合調整や義歯の形態修正で改善できることが多いため、受診をおすすめします。

口角炎・義歯性口内炎・口臭

入れ歯の清掃が不十分だったり、逆に乾燥させすぎると、口角炎や義歯性口内炎、口臭の原因になります。毎日の清掃に加え、洗浄剤の適切な使用と保管環境の見直しが有効です。症状が長引く場合は感染やカンジダ菌の増殖が関与していることもあるため、歯科での診察が必要です。

金属アレルギーが心配

金属床義歯を使用する場合、まれに金属アレルギーが問題になることがあります。既往歴がある方は必ず申告いただき、必要に応じてチタンや樹脂系の設計を優先して検討します。

注意点

  • 自分で削る
  • 瞬間接着剤で補修する
  • 熱湯で洗浄する

これらの行為は入れ歯を破損させたり、修理不能にしてしまう原因になります。必ず歯科での専門的な調整を受けることが、長く快適に使い続けるための一番の近道です。

素材別の特長と適応まとめ

種類 見た目 薄さ・軽さ 温度の伝わりやすさ 修理性 想定される注意点 適応の目安
レジン床 標準。金属が見える場合がある 厚みが出やすい 樹脂主体で伝わりにくい傾向 修理しやすい たわみやすい、経年変化 幅広く対応。費用を抑えたい場合
金属床
(チタン/コバルト)
バネは見える設計もあるが床は薄くできる 薄く軽くしやすい 口蓋部を薄くでき温度を感じやすい傾向 設計により可否が分かれる 金属アレルギー配慮が必要 装着感や温度感を重視する場合
ノンクラスプ
(スマートデンチャー等)
金属バネが見えにくい設計が可能 薄さは症例により異なる 樹脂主体 修理や増歯に制限が出ることがある 破折・変色・摩耗への配慮 見た目の配慮を重視する場合
生体シリコーン裏装 見た目は床に準ずる 内面がやわらかく当たりを和らげる 温度感は床素材に準ずる 経時で交換や再裏装が必要 汚れやすさ、衛生管理 粘膜が敏感な場合、当たりを緩和したい場合

よくある質問

Q
目立たない入れ歯にできますか?
A
ノンクラスプ系(スマートデンチャー等)で金属のバネが見えにくい設計が可能です。見た目を重視される方に選ばれることが多く、会話や笑顔でも自然に見えるのが特長です。ただし、欠損の範囲や支える歯の状態によって適応が限られる場合があるため、診査後にご提案いたします。
Q
薄くて軽い入れ歯は作れますか?
A
金属床(チタン/コバルトクロム)は、従来のレジン床に比べて薄く仕上げることができ、熱の伝わりやすさにも優れているため、食事の味や温度を自然に感じやすくなります。特に長時間装着する方にとって、違和感の少なさが大きなメリットです。ただし、金属を使用するため体質による適否があり、検査での確認が必要です。
Q
痛みが出やすいのが心配です。
A
入れ歯の装着に伴い、粘膜にこすれや痛みが生じることがあります。その場合、生体シリコーン裏装で歯ぐきに当たる部分を柔らかく加工することで、圧力を分散し痛みを和らげる方法があります。特に粘膜が弱い方や高齢の方に適しています。ただし、シリコーンは経年的に劣化するため、定期的な交換・メンテナンスが前提となります。
Q
何回くらい通いますか?
A
設計内容や本数、必要な調整の回数により異なりますが、目安として3〜4回程度の通院で完成するケースが多いです。初診での検査から型取り、試適、装着までの流れを経て完成しますが、痛みやこすれが出た場合は追加の調整が必要です。患者さまの生活に支障が出ないようにスケジュールを調整しながら進めます。

入れ歯症例紹介

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