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虫歯を10年放置したらどうなる?命の危険も
皆さんは虫歯があったらすぐに歯医者に行っていますか?実は虫歯を放置してしまう方は少なくありません。中には10年間も放置してしまったという方もいらっしゃいます。虫歯を放置すると一体どのような影響があるのでしょうか。
この記事では虫歯を放置するリスクや対処法について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
虫歯が自然治癒することはない
「虫歯の痛みが自然に治まったため、歯医者への受診をやめた」と言う人がいますが、これは非常に危険です。虫歯が自然に治ることは決してありません。痛みが感じなくなるのは、歯の神経が死んでしまい一時的に痛みが感じられなくなるだけです。虫歯をそのままにしておくと、最終的には歯の根の先に膿が溜まり、さらに激しい腫れと痛みが戻ってきます。虫歯は放置しても決して治ることはなく、症状はどんどん悪化していきます。
そのため、虫歯が痛くなくなったとしても油断せず、早めに歯科医院で適切な治療を受けることが重要です。放置せず、早期に対処することで、より重大な問題を避けられます。
虫歯の進行について
虫歯にはステージがあり、歯科用語でC0〜C4の5段階に分けられます。それぞれどのような状態か解説します。
C0:虫歯の前兆
この初期段階ではまだ痛みなどの症状はありません。歯の最も外側にあるエナメル質がわずかに溶解し、斑点や帯状のパターンで白っぽくまたは茶色っぽく濁って見えることがあります。この時点での治療としては、歯を削るような処置はせず、定期的なメンテナンスとしてフッ素の塗布などの予防的措置を施し、歯の再石灰化を促進します。
C1:軽度の虫歯
エナメル質だけが溶けて穴が開いている状態です。虫歯がエナメル質にとどまっているため、痛みを感じることは少ないです。この段階では、虫歯部分だけを削りコンポジットレジンという歯科専用の樹脂材料を詰める治療をします。
C2:中度の虫歯
虫歯が歯の表層であるエナメル質を越え、その下に象牙質まで広がった状態です。この段階で、冷たいものや甘いものが歯にしみるような症状が現れたり、虫歯が神経に近づくとズキズキとした痛みがでることがあります。治療では、まず虫歯部分を削り取りますが、C2ステージでは虫歯の範囲が広いため、通常のコンポジットレジンよりも強度が高いインレーという詰め物を用います。
C3:重度の虫歯
虫歯が歯の神経にまで達している状態です。噛んだ時の痛みや、何もしなくても感じる激しいズキズキとした痛みを感じます。この段階まで来ると、歯の神経を抜く「根管治療」が必要になってきます。
C4:最重度の虫歯
神経が死んでしまい、虫歯が歯の根まで深く進行しています。この状態までくると、通常は治療が困難になり、抜歯をしなくてはいけなくなる場合が多いです。歯を抜いた後は、インプラントやブリッジなどの方法を用いて、失われた歯を補う治療をおこないます。
虫歯を10年放置したらどうなる?
「虫歯を10年放置してしまった」という場合、どのようなことが起こりうるのでしょうか。以下では、虫歯を放置した際のリスクについて解説します。
顎の骨に膿が溜まる
歯の神経が死んでしまうと、内部で腐敗が始まり、歯の根の先端から細菌が広がります。体はこれに対抗して、細菌がさらに侵入しないようにするために袋を形成し、細菌を封じ込めようとするのです。この袋は徐々に大きくなり、細菌の塊となっていきます。
結果、歯茎が腫れて痛みを感じるようになります。この状態になると、単純な治療では対応できず、歯の根の治療や腐った部分の除去が必要です。さらに、歯茎を切開して膨らんだ膿の袋を取り除くような処置が必要になることもあります。
ひどい口臭がする
虫歯が進行すると、特有の口臭が生じます。この口臭は、本人が気付きにくいのが難点です。歯の根先に膿が溜まり、それが口の中に漏れ出すと、強烈な口臭の原因となります。
副鼻腔炎になる
副鼻腔炎は、細菌が鼻の近くの空洞(副鼻腔)の内壁に感染し、炎症を引き起こす病気です。症状は、鼻水、咳、頭痛などです。1970年代からこの病気は減っていますが、治療されない虫歯が原因で発症することもあります。特に、上顎の奥歯は副鼻腔に近く、ここから細菌が副鼻腔に入り込み炎症を起こすことがあります。副鼻腔炎の治療には長い時間と、約一ヶ月間の抗生物質服用が必要です。また、原因となった歯の治療ももちろん重要になります。
骨髄炎になる
骨髄炎は、熱や嘔吐といった症状を引き起こす病気です。この状態は、通常治療されない虫歯からの細菌が顎の骨に広がり、骨髄に感染して骨を痛めつけることで発生します。治療には抗生物質の点滴が必要ですが、最近の抗生物質の進歩により治療成果は向上しています。
しかし、骨髄炎が慢性化すると、繰り返し発症し、治療が困難になることも。さらに、初期の症状が風邪に似ているため病気を見逃しやすく、多くの人が熱や嘔吐を感じた時には風邪と誤解し、適切な治療を受けるのが遅れがちになる傾向があります。
最悪の場合、命に関わることも
虫歯を放置すると、細菌が血液に入り込んで全身を巡り、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性もでてきます。これらは命に関わる重大な病気です。また、溜まった膿が気道を圧迫し窒息死してしまうというケースもあります。確率は低いとはいえ、実際にあった事例です。治療を避けるために虫歯を放置することは、痛みを避ける短期的な解決に過ぎず、長期的にははるかに深刻な健康リスクを招くことになります。
虫歯を10年放置してしまったらどうするべき?
10年近く虫歯を放置していれば、おそらく歯はボロボロになり、さまざまな問題を引き起こしているでしょう。抜歯をしなければならない可能性が高く、その他の手段だとしても治療の難易度は上がります。しかし、歯医者に行かずこのまま何もしなければリスクはさらに増える一方です。虫歯を放置している方は、一刻も早く歯科医院を受診し、治療を受けましょう。
まとめ
虫歯を10年も放置してしまった方が歯医者に行かなかった理由は「幼少期のトラウマがある」「面倒くさい」「こんな状態で歯医者に見せるのが恥ずかしい」などさまざまです。どの理由でも、治療を避け続けるともっと大変な事態を招くことになります。虫歯があると自覚したら、なるべく早く歯医者に行き最小限のうちに治療しましょう。